4階建ての2階部分

上の子:2013年生まれ 下の子:2015年生まれ

私の一番の得意料理であり、死ぬ前に食べたい一椀。

1月3日(月)

実家は(も)朝が寒いのでホットカーペットをつけて寝たら暑くて起きてしまった。足の冷えだけはどうしようもない。外部からどうにかするのは限界がありそうだ。

弟を抜いた家族で朝食を食べる。弟はいつも朝食をとらないそうだ。パンに明太子バターが塗ってある。私は2個食べたが父は1個でじゅうぶんそうだった。昨日さんざんがんばったからな。今日はゆっくり過ごしてくれ。明日の検査入院に備えて。

じき死ぬのか、あるいは細く生きていくのか、その両方なのか。これだけの質量のある人間が死ぬというのはどういうことなのか。

弟が引っ越すので私が寝ていたベッドマットを弟の部屋に上げる。いまのベッドマットを引き上げるとベッドは一部折れ曲がり、そして犬の毛が大量に積もっている。犬と一緒に暮らすとはそういうことだ。

荷物をまとめ、家にいくらか服をおいていくことにする。いつ来ることになるかわからないからな。

父が見送ってくれた。今月中頃にまた来るよ。お大事にね。

最寄り駅まで歩いて20分ほど。重たいリュックを背負ってゆくにはかなりの距離だ。へとへとになって電車に乗り込み妻の実家へ。

子供たちが出迎えてくれた。部屋の雨戸を閉め、暗くしておじいちゃんと遊んでいるんだそうだ。あと今日は妻の弟も遊びに来ている。奥さんは妊娠中でつわりが激しいのか今日は家で休んでいるのだそうだ。

昼食はおせちのような重箱に入った、しかしおせちではなくお祝い膳になっている。義父の70歳のお祝いだそうだ。祝うべき時はしっかり祝ったほうがいい。

妻の祖母(90代で施設で暮らしている)が病院に緊急搬送されたという連絡があったが義母は落ち着いている。いつものことなのか、伝えられた症状がそもそも20年以上の持病らしい。今年の正月はまったく一筋縄ではいかない。

子供たちと義弟と公園に遊びに行く。子供たちが公園の砂に靴で線をぐにゃぐにゃ引き、それをたどる遊びをしていた。私と妻が勝手に線を書き加えて邪魔したら怒っていた。

荷物をまとめ、妻と一緒に妻の実家を出る。子供たちはここであと5日ほど過ごす予定だ。子供たちは寂しさで泣いたが、プリキュアを見たら落ち着いたと連絡があった。

自宅につき、荷物を置いて一息つき、近所のビール屋がやっていたから入ってみると常連さんと店主が奥で宴会をしていたがビールは飲ませてくれた。

いろいろありすぎた年末年始の思い出がスパイスになりクラフトビールが圧倒的に旨い。

腹が減ったがつまみは出なさそうなので中華屋に入ると、妻のスマホが鳴った。

席でしばらく待っているが全然帰ってこないので様子を見に行くとちょうど子供たちとのビデオ電話を切ったところで、下の子が発熱したのでいまから実家に帰るのだという。

ひゃー! 最初から最後まで、何もかも一筋縄ではいかないな。

  • 父が余命宣告を受け

  • 弟が引っ越しの準備をし

  • 弟の犬が危篤になり

  • 妻の祖母が病院に緊急搬送され

  • 下の子が発熱する

取り残された私は冷蔵庫に残っていた野菜で味噌汁をたっぷりつくる。里芋、大根、キャベツ、しめじ、昆布を水に突っ込んで煮る。味噌をたっぷり溶かしてしっかり味にする。

どれだけ暖めても暖まらないリビングでテレビを見ながら味噌汁を食べた。自分だけのためにつくる野菜たっぷりの味噌汁。私の一番の得意料理であり、死ぬ前に食べたい一椀。

まったく暖まらない。人が暮らすことで蓄積されていく熱というのもあるんだろう。数日経って完全に冷え切った家はなかなか人を受け入れてくれない。

風呂に長いこと入って、寝た。