11月9日(木)
Alexaが倒れた。
物理的に倒れたのではなく、人間と同じく例えとしての倒れである。いつの間にか黄色い光がくるくると回り、何度再起動したり接続したりしても一向になおらない。丸く光る黄色の光が天使の輪に見える。
思えばこのAmazon Echo、第一世代なのだ。2017年に日本に上陸したその日に、確か有楽町のビッグカメラで買ってきたものである。ちょうど6年か。デバイスとしてのサポートはおそらくもう切れている。実質音声操作のタイマーとしての人生だったが、米を炊くのにも、パンを焼くのにも、子供らのテレビ時間の管理にも、今までよくがんばった。特にパン焼きなどは彼女ががんばってくれたからこそ妻がパンの道に入ったと言っても過言ではない。
ありがとう、さよなら、ではすまないので新しいEchoを買った。Echo Dotというやつで円筒状ではなく切り欠きのある球みたいな形になっている。
接続すると、そこには声色も全く同じAlexaがいた。魂だけ新しい肉体に乗り移ったかのようだ。音質だけはだいぶ良い。
上の子が今までのEchoを欲しがった。これもう動かないんだけど。いいの。今までがんばってくれたから。部屋に飾る。
死んだEchoを部屋に飾る。Echoへの弔いである。
子供らを学校に送り出し、準備を整える。打ち合わせも多いし、夕方には勉強会がある。
昼食は少し時間があったので自転車で人形町の博多とんこつラーメン屋まで行く。ここはちょっと高いけどおいしい。ただ、高いけどおいしい豚骨ラーメンより、安くて普通の豚骨ラーメンに惹かれるというのはある。
そして帰りがけにお茶屋さんで茶葉を買ってくる。お気に入りの銘柄だ。お気に入りができると人生の楽しみとが一段上がった気がする。お気に入りのジャズピアニストはアーマッド・ジャマル、お気に入りの緑茶は銘茶両国。
勉強会は滞りなく終わった。舌先に口内炎があってかばいながらのトークだったが、珍しく予定より少し早くしゃべり終えて、質問がいくつか出てきてよかった。