4階建ての2階部分

上の子:2013年生まれ 下の子:2015年生まれ

「おしっこ」と父が言った。

12月12日(月)

母があさイチで病院に電話したところ、病院の人は「一人でよく頑張りましたね」「緩和病棟に入りましょう」と言ってくれ、救急車で即時病院まで運んで行ってくれるらしい。

一安心だが、もう家に(生きて)帰ってくることはない父と、それを言わずもがな感じる母の間に流れる空気は想像すると寂しい。

犬と戯れながら仕事をしているとふたたび母からLINEが入って、「かなり進行が早くて、1週間か、もって10日だって」とのこと。おお……意外と近い。

妻は錦糸町に犬の洋服を買いに行った。私は昼食に味噌汁をつくり、妻の分を残し、仕事のきりのいいタイミングで病院へ向かう。

いままでの病院が武蔵小杉だったので武蔵小杉で降りてとぼとぼと歩いていくと、弟からのLINEがあって、「綱島が混んでいるので遅くなります」。綱島?なんて通らないよな? あ、病院を間違えていた。がん治療をしていた病院と、緩和ケアの病院は違うところだったよ。

タクシーに乗って鶴見へ。4000円近くかかってしまった。そして16時過ぎになってしまった。

父は病棟のベッドに横たわっている。話しかけると、うなずいたり、返事をしたりする。時折水を飲むので、頭の後ろを支えてやる。痛みはもうほとんどないが、少し痛んできたので薬を入れる。やがて父の妹である叔母さんも来る。

背中がかゆいというので、ベッドを起こして、弟と二人で背中を掻いてやった。身体を支える筋肉はまだ動いている。

「おしっこ」と父が言った。看護師さんを呼ぶと、おむつがついているのでそのまましてください、とのこと。父に伝える。

「まだ」

「あと少し」

「あとちょっと」

「……」終わった?「終わった」

看護師さんを呼んで替えてもらう。

一通りお見舞いして、いったん解散。1週間とのことだが、うーん、もうそんなに長くないかもしれない。妻に連絡して、明日の学校終わりで子供たちをつれてお見舞いに来よう。