4階建ての2階部分

上の子:2013年生まれ 下の子:2015年生まれ

食べるという行為への根源的な執着

12月10日(土)

実家に行くことにしている。来週も行く予定だが、一応今週も行く。

妻が習い事に行っている間に子供たちに留守番を頼み、11時ころに家を出て実家に向かう。駅から歩いて25分くらい、ジャズを聴きながら歩いていく。

「ただいま」と母に声をかける。父は介護用ベッドに横たわっていたが、私の姿を見ると絞り出すように「母さんには言った?」とのこと。さっき挨拶したよ。

という声は聞こえたのか聞こえていないのか手元のボタンを押す。チャイムが鳴って、母が来た。最近は夜も2時間に1回ずつ母を呼んでいるらしい。本人としても迷惑をかけるつもりはないが、どうしても呼んでしまうのだそうだ。

昼食となる。父の体を起こし、歩行器にたずさえる。もはや自力で歩くことあたわず、歩行器でなら歩けていたが昨日転倒してしまい、自信をなくしてしまったようだ。母が後ろから支えて父をリビングまで歩かせる。

昼食に母はパンケーキを焼いてくれた。マカロニグラタンも。父の皿には少しだけパンケーキが乗っていて、マカロニも数本あった。父は震える手で(手の自由が利かないので赤ちゃん用のマグを使っている)マカロニを1本フォークで刺し、食べていた。赤子のようだ。食べるという行為への根源的な執着を感じる。

そして戻してしまった。もうしばらくこんな調子で、まともに食べられていないのだそうだ。食べられなくなってからは、早い。

父を介助してトイレに座らせ、済んだらベッドに戻す。やがて寝た。

昔、インコを飼っていたことがあった。インコが年老いて死にゆく直前、獣医さんに言われたのが「だんだん赤ちゃんに戻っていくように看取ってあげてください」だった。当時おそらく小学生だったがその言葉がずっと残っている。死とは生まれる前への戻り道なのだろう。

母から納骨堂についての話を聞いた。ずっと探していて、良いと思っているところがあるそうだ。年内怪しいので、その場で資料請求だけしておく。

来週子供たちを連れてこようと思っているが、ちょっと怪しいね。そもそも24時間体制で、介護のケアマネジャーは来るとはいえほぼ一人で介護している母の身も心配だ。自立歩行ができなくなったら緩和病棟に、という話をしていて、それも遠くないな、と思った。

川崎駅まで歩いていく。ラゾーナでなんか買い物をしようと思ったが時間もなく、ただ遠回りしただけだった。

その後、家族と待ち合わせて、近くのピザ屋へ。かなりの有名店で、18時からぎりぎりで予約がとれた。ピザとラザニア、ワインとジュースを楽しむ。2か月間家族全員でがんばってピアノの練習をした成果だ。今月に入ってから顕著に練習量が減っており、「11月までがんばって練習したのにご褒美がまだないからではないか」という仮説のもので実施された。