4階建ての2階部分

上の子:2013年生まれ 下の子:2015年生まれ

命とは体重である。

1月25日(火)

父からLINEの返信があった。

抗がん剤治療の開始から1週間たち、まったく食べられていないのだそうだ。栄養点滴をずっと行っている。吐き気、しゃっくり、下痢がつづくと母から聞いていた。母には最低限のLINEはしているようだ。

「以前より少し安定してきましたが、まだまだ落ち着きませんね」

とのこと。落ち着きません、という言葉で表現できるのだろうか。体重も60㎏を切りました、とのこと。入院前は66kgだったから10%以上落ちたことになる。一週間で。だいたい66kgにしたって以前の父と比較するとかなり軽い。

命とは体重である。

父はいずれ死ぬ。いずれ死ぬ人のLINEには重みがある。

いずれ死ぬという事実は病気が発覚する前と後で何も変わっていないが、なんだろうこの重さは。


子供たちが6時50分に起きてきた。これは近年ではとても珍しいことだ。

理由はわかりやすくて、たまごっちをリビングに移動したからである。今までは子供部屋にたまごっちを置いていたので、7時にたまごっちを起こして遊ぶところまでセットになっておりリビングへの到達が遅かった。

たまごっちを移動させることで子供たちは7時までに起きてくるようになった。インセンティブ設計とはこのようなものぞ。

大人もいつもよりだいぶ早く起きたためゆとりをもって朝食をとる。高加水パン、ほうれん草サラダ入りのスクランブルエッグ、キャベツスープ。

そういえば昨日、縮みほうれん草をサラダにしたら下の子に大うけで、本当に本当に大好きとのこと。ありがたい。

今日は上の子はオンライン授業、下の子は登校となっている。

下の子は学校に行くのを嫌がった。上の子にひたすらずるいずるいと言い続けている。

最近になってようやく、これが本当にずるいと思って言っているのではなく、単に上の子と離れて一人で学校に行くことを嫌がっているのだ。これがもし逆でも(上の子だけ登校、下の子が在宅)ずるいずるいと言ったことだろう。

この手の「言っていることと思っていることは違う」というのは、頭で理解していても会話の中で反射的に対応していくのは本当に難しい。

「あなたのクラスはこの禍のなか唯一生き残ったクラスとして小学校の歴史に残るかもね」と送り出した。

昼どき。上の子と3人でご飯なのでリビングに行くと、先生と会話していた。先生の声が聞こえる。

「明日からは、小学校のぜんぶのクラスがオンライン授業になります」

そ、そうか……。

残り物、白飯、インスタントのスープで簡単に昼食をすませる。まさか子供が家にいるとは思わなかったから、何もおかずの用意はない。

午後も仕事をし、夕食は牛肉と里芋の煮つけ。これがおいしくできたのだ。とても自信があったが、子供たちは自信を裏切らずしっかりと食べてくれた。

子供たちはポケモンカードゲームに飢えていて、夕食が終わるとすぐに戦いたがった。限られたカードで何度も何度も繰り返し遊んでいる。私も参戦し、妻が夕食の片づけをしてくれた。


父の夢を見た。

父が運転する車に乗り、私は後部座席に母と一緒に乗っている。助手席には誰もいないようだ。

先日実家に帰った時に乗ったのが、父の運転する車の最後なのだろうか。

父はよく車を運転していた。