4階建ての2階部分

上の子:2013年生まれ 下の子:2015年生まれ

どのみちたどり始めた死途ではあるが、あまりにも爆走していないか、父よ。

1月30日(日)

妻の祖母の具合がいよいよということになっているらしい。

妻の祖母なので歳は90を超え、だいぶいろいろなことがわからなくなっているらしい。今は千葉県にある高齢者施設にいるそうだ。ここしばらく元気があったりなかったりして、施設の方によるとこれはもうじきということで妻が会いに行くことになった。

数年前に妻の祖父が他界し、その後どうにか施設に入居して数年。コロナになってから会いに行くこともかなわなかったが、久しぶりに会いに行ってきた。話を聞くと(コロナ前と比べて)ずいぶんとやつれ、何を認識しているのかよくわからないようでギャップがすごい、でも自分のことはわかってくれたと思う、とのこと。

夕方、父と母にLINEをする。

父は「調子は一進一退ですね」「固形物が食べられるようにがんばります」とシンプルに返事をくれた。

母曰く、「抗がん剤の作用なのかがんが肥大したせいなのかとにかく吐き気がすごく、まったく食べられていない。このままだと退院はおろか二回目の抗がん剤治療もできないので、来週どうするか話し合います」とのことだ。

これは……もう怪しいのではないか。食べられなくなったら人はもう厳しいと話に聞く。ここからどうにか持ち直して固形物を食べ、体重を持ち直すことはあるのだろうか。ステージ4のすい臓がんをぶら下げて。

どのみちたどり始めた死途ではあるが、あまりにも爆走していないか、父よ。病や加齢というよりほとんど事故ではないか。

母も心配で、近いうちに遊びに行きますと伝えたが、感染拡大が酷いので無理しなくていいよとのこと。無理なんてないだろう。会社にいくよりずいぶんと良いだろうよ。

なんにせよ、これからはスマートフォンを枕元に置いて寝ようと思った。


そんなこんなで、朝食にチャーハンを食べたあと、妻は祖母に会うために家を出ていった。子供は最初は嫌がっていたが、妻が大福を買ってくることを約束したのでどうにか飲み込んだ。

毎週木曜に届く小学生新聞には誕生月による占いがあって、今週はそこに書いてあった家族全員のラッキーアイテム(食べ物)を食べた。

妻…伊予柑。スーパーで買ってきた。

私…納豆。いつも食べている。

上の子…大福。今日買ってくる。

下の子…昆布。とろろ昆布やごま昆布を食べた。

これで全員がラッキーに過ごせるはずである。死の影を背負いながら。

上の子はポケモンカードをしたがったが、私は残された家事がたくさんあると伝えるとポケモンカードやりたさに家事に協力してくれる。植木を外に出して水をやり、下の子と一緒にラタトゥイユづくりをした。

その後少しだけポケモンカードをやり、錦糸町へ3人で自転車に乗っていく。

ポケモンカードの売り切れ具合に舌を巻き、その後寿司屋へ。妻がいないときに行く寿司屋の味をしめたのか、妻がいないとなるとすぐに寿司を食べたがる。

寿司屋は長いこと回転レーンを封じていたが、今日は回転しておりタブレットによる注文も受け付けていた。DX!

駄菓子を買い、公園で遊び、帰宅して妻が買って来た大福を皆で食べた。

夕食に皆で作ったラタトゥイユを食べたが、遅めの寿司と大福を詰め込んだ子供たちはさすがに満腹そうであった。

この4人はすっかり元気なのだ。この4人は。死の影だけが家の外周をぐるぐるとつきまとっている。