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上の子:2013年生まれ 下の子:2015年生まれ

米袋にグッとくる大人たち

3月23日(火)

下の子が6歳になった。朝の食卓で6年前のこの日の話をする。

6年前、下の子が生まれた日のことは覚えている。午前3時くらいに妻からのメッセージに気づいて家から病院までタクシーで行った。

妻の腹の具合は順調で、病院についたころには分娩室に入ったところで、ぎりぎり顔をあわせて「がんばれ!」とエールを送って待ちに入った気がする。

当時あるスマホゲームをやっていたが、今調べたら、なんと、まだあるんだな。なかなかすごいことだ。

子供らは自分が生まれたときの話を何度も何度も聴きたがるが、忘れているのか、大人が自分について語ることが楽しいのかはわからない。

母子手帳を見ると、生まれたときの体重が書いてあった。だいたい3kgだ。

我が家にある米袋が3kgであり大きさもだいたい同じくらいなので、米袋を抱いてみる。目を閉じると思いのほかグッとくるものがあって、妻とヤバいヤバいになった。

米袋にグッとくる大人たち。

朝食に、昨日のカレーを卵でとじたものを食べ、下の子を保育園に送っていく。今日お誕生日なんだよね、と確かめ合い、恥ずかしがっていた。

昼に妻とうどんを食べ、仕事をしていると妻が仕事場に入ってきた。

保育園に新型コロナウィルス感染者が出たので今から引き取り、とのこと。

ここでかぁ~!

あわてて引き取りにいく。正門ではなく裏口から、と言われて裏口にまわるも、扉があいていない。

待っているとあとからほかの子のご両親がずらずらと来た。私は一番乗りだったようだ。保育園から先生が出てきて鍵をあけ、すぐに奥から下の子が出てきた。

ともすればこのまま卒園となってしまう。緊張感をもって先生とご挨拶をする。

子供はどうして帰されたか聞かされていず、「引き取り訓練のようなもの」と指示されていたようだ。とはいえ今日から6歳。事態を飲み込む度量はあろうということで伝える。

16時に上の子が帰ってきて、下の子がもう帰ってきていることを知り、

「テレビ見てる?」

「見てるんじゃない?」

「ずるい!!」

いや、毎日君の方が早く帰ってきて長くテレビ見てるよね?

夕方にオンライン飲み会があったがちょっとしっくりこなくて、ただ一人でウェブを眺めながらビールを飲むだけの時間をすごす。その間に子供と妻は風呂に入ったらしい。

夕食にバンバンジーを食べ、は! 電話がかかってくるかも! と気づく。私も妻も電話に気づかながちなのだがこういう時は保育園から電話がかかってくるんだよな。気を付け耳を澄まして過ごそう。

夕食を食べ終わり、歯磨きをしなさいと指示していると案の定電話が鳴り、妻の電話なら上のフロア、私の電話なら下のフロア、それぞれに散ってスマホを探す。私のではなかった。妻が応対している。時間がかかっている。

その間に子供たちを子供部屋に突っ込んでいく。妻が苦い顔をして帰ってきて、ああ、これはよくないな。

子供たちが寝た後、下の子は残念なことに濃厚接触者判定されたとのことだ。保育園は終了、小学校も終了。おそらくは明日検査に行くことになるだろう。

今のところ家族全員がいたって健やかであり、健康上の懸念というよりは社会とのかかわり、そしてマインド的な部分が心配になる。

もやもやが晴れないので「味覚のチェックをするぞ!」と退屈の極北みたいな冗談を飛ばして、封印していた高いウィスキーでハイボールをつくった。

味がするような、しないような。