4階建ての2階部分

上の子:2013年生まれ 下の子:2015年生まれ

左は休む丸、右は行く丸。

11月24日(水)

下の子が鼻をすすったり咳をしていたりして家がピリッとしている。土曜に学芸会のようなものがある。

暖かくし早く寝かせたつもりだが朝も少し鼻をぐずぐずしていて、熱があったら学校を休もうね、という話をしながら起きてきた。熱があったら学校休もうね。

熱を測ると、熱はない。お茶を飲んでいたら咳も落ち着いてきた。

学校いけるね!

すると見よ! 下の子の顔がみるみる曇り、泣きださんばかりになる。

「学校いかないから! 絶対にいかないから!」

なるほど、学校行かないモードに入ったあとで行くことになったのが悲しいのだな。とりあえず朝ご飯を食べよう。昨日買ってきたパン食べよう。スクランブルエッグ冷めないうちに食べよう。

しかし朝食を食べ終わっても「学校いかないから! 絶対いかないから!」は続いている。

やがて時間が来て上の子だけ先に学校に向かう。妻も会社に向かう。

下の子は家でまだわんわんしている。学校に行きたくないというよりは、行くタイミングを逃したというか、「今から行っても遅刻で目立ってしまう」「だからといってずる休みも嫌だ」というはざまに陥ってパニックが重なっているんだと思う。

とりあえず牛乳を飲んで落ち着きなさい。カルシウム入っているから。

しばらくするとすこしだけ機嫌が落ち着いてきたので、散歩に誘う。一応ランドセルと帽子を持っていく。一応ね。

学校のほうへ近づいて、しかしまだ「行きたくない」だったので私は片手にランドセルを抱えてもう片方の手をつなぎ商店街をぐるっと回るなどする。

「でも、学校行きたくない。だって絶対怒られるから。こんなに遅れたら怒られるから。まえ怒られてた子いるから」

本当かよ。それでも学校に行ける雰囲気でもなかったので公園に座り、少し体を動かすなどする。妻からLINEが来る。いま公園にいるんだよ、まだ学校に行けてないんだよ。

まもなく一時間目が終わる。行くなら休み時間しかない。そろそろ決着の時だ。地面に二つ丸を書いて、左は休む丸、右は行く丸。さあ選ぼう。さあ!

「真ん中は何があるの?」

「真ん中には! なにもないよ!!」

右の丸に乗ったので学校に向かう。

窓から担任の先生が顔を出し、我々を確認すると学校から出てきた。どうやら先ほど妻のところに電話がいき、そこから我々が公園にいることを伝えてくれたらしい。

先生は「●●ちゃんがいないと授業がつまんないんだよー」といって迎えてくれた。下の子は促されるように学校に入っていった。

公園の時計を見上げると、時刻は9時半。ぐずりはじめてから90分以上が経過している。長い長い闘いだった。子供ではなく、己との闘いだ。子供がパニックになっているのにおれまでパニックになってどうする、落ち着け、落ち着け。

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家に帰ってさすがにへとへとで、朝イチのミーティングもさぼってしまい、全然仕事する気になれなかったので午前中は半分休みだの気持ちでジャズの歴史の本を読んでまとめるなどする。

会社の人が副業で始めようとしているコーヒー焙煎ショップがプレオープンしたらしく、テストとして買った豆が届いていたので、ありがたがって何枚も写真をとり、うやうやしく淹れた。エチオピアのイルガチェフだがいつものやつより煎りが深く、強い甘みがあってこれはこれでおいしい。

昼にラーメンを食べ、どうにか仕事をする気が出てきたので午後は働く。

打ち合わせ中に子供たちが帰ってきた。下の子に、先生に怒られた? と聞いたら、小さい声で「怒られなかった」と言っていた。そりゃそうだろうよ。元気そうで何より。

しかしピアノに行く時間を完全に忘れていたらしく、3分前にリビングに行ったら完全にだらだらとテレビをみていたので「わーっ」となった。

夜には妻も帰ってきて、肉味噌、かぼちゃ、ほうれん草の残りを盛り合わせて三食丼をつくる。

下の子は今日の顛末を妻に話し「わたしがいないと授業がつまんないって先生言ってたよ」と、なぜか誇らしげに語るのだった。